ほしいもの

アレがどうしても欲しかった
手を伸ばせば届きそうなのに
微かに触れては
離れてしまう
何時しか夢中になっていた
何が何でも手に入れてやると
手段を選ばなかった
手に入れれば何でも出来ると思っていた
それが幸せなんだと
信じて疑わなかった
だから力ずくで奪った
 
なのに
 
手のなかのそれはみるみると枯れてしまった
幸せになるはずだった
けど、実際は虚しくなっただけだった
輝きを失い痩せ細りあの時の面影すらない
見るたびに息苦しくなった
此れが求めていたものなのか
 

 
僕は間違っていた
手に入れることが大切なのではなかった
如何してあの時気付かなかったんだろう
気付いた時はもう遅かった
 
そして
 
ただ朽ち果てていくそれを
死に絶えていくそれを
見守り続けることが
与えられた僕への罰