途惑い纏いし幼子と不条理な秘密を宿し母

母は言うた
 
「流るる時は常に変わらず
 
限り在る日に追われ猶」
 
僕は思う
 
「何故皆知らぬのだらう
 
何故皆気づかぬのだらう」
 
人は言うた
 
「万物は在るべくして
 
其処に存在している」
 
僕は思う
 
「在る事と居る事は
 
似て非なる物なのだと」
 
母は言うた
 
「如何に此処に在らうとも
 
居るが為は知られねばならん」
 
僕は思う
 
「僕が此処に在らうとも
 
君が処に居ないのだと」
 
人は言うた
 
「貴方は此処に無からうと
 
私の心に居続ける」
 

 
 
君が問う事を
 
辞めて等しく
 
僕が求めて
 
亡くした者を
 
 
自らとの相違を
 
喜び持って
 
認め合おうと
 
 
僕は言うた
 
「此の世にカエラレヌものはないのだと」